取扱ゲームは、オールネタバレです
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ムーンライトシンドローム(PS)
2009年01月12日 (月) | 編集 |
ムーンライトシンドロームムーンライトシンドローム
PlayStation(1997/10/09)
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時代先取り
<サイコアドベンチャー>
・全体評価  
・お気に入り度

ゲーム界でも一際異彩を放つ存在、須田剛一氏が世に放った問題作。
ハマる人はディープにハマる、駄目な人はとことん拒絶反応を示す、ユーザーの評価が真っ二つに分かれるため、巷の評判通り、これほどまでに評価をつけづらい作品はめずらしいと思います。クソゲーの代表格であると同時に、神ゲー認定している人も多く、そういったプレイヤーの両極端な反応も、このゲームの異質さを際立たせる一因となっています。
この作品はハッキリ言ってゲームじゃないので、総合評価は☆1つ以外にありません。が、何しろ類似作品が皆無で、独自性があまりにも強い輝きを放っているため、正直、どういうカテゴリに分類していいのかわかりません。後にも先にも、この作品は、唯一無二なのです。

前作で大団円を迎えた主人公たちが惨殺されるという衝撃的な内容は、前作トワイライトシンドロームをプレイしたユーザーに多大なトラウマを与えました。前作で作り上げたものを、続編ですべて破壊したわけですから、その怒りも当然と言えます。当初は初代トワイライトの続編として発表されましたが、そんな過程もあり、現在ではファンの間で、この作品はパラレルワールド扱いになっているようです。ただし、前作を彷彿させるようなネタは随所に仕込まれていますが。(クラブの会話に、トワイライトでの心霊スポットのその後の噂が混ざっているなど)


このムーンライトをゲットした日のことは、今でもよく覚えています。
発売日はちょうど文化祭の最終日だったのですが、ムーンを早くプレイしたいがために後夜祭をパスし、地元のゲーム屋に駆け込んだものの、売っておらず、仕方なく電車に飛び乗って大きな駅まで戻ったものです。翌日が休みなのをいいことに、その後、徹夜でプレイしクリアしたのですが、東の空が白みかける頃、ものすごい絶望感を味わっている自分がいました。
文化祭という、学生生活における貴重な青春イベントを犠牲にした結果がコレか。コレなのかと。


ムーンライトの特色は「狂気」。
人が持つ暴虐的なまでに熟れた内面の闇を、有無を言わさぬ勢いでプレイヤーに突きつけてきますが、この作品で示される狂気の形は、常人にとって理解しがたく、共感も困難。従って、大半のプレイヤーが、このキチガイワールドに困惑を覚えるわけで。
しかも物語が意図的に核心を避けて進行していくため、何もかもが意味不明。クリアしても、わけわからんとしか言いようがありません。
前作トワイライトの熱狂的ファンだったこともあり、クリア後の消化不良さに耐えかねた自分は、ネット開通後、必死に情報を集めました。それらを総合すると、細かい面では多少違う面もありますが、「ストーリーを教えてもらうスレ暫定Wiki」のネタバレが、常人に理解できるレベルの解説なので、未見の方はぜひ。


さてさてこの超問題作、プレイ当時は主人公たちと同じ高校生だったので、「こんなこと思うわけないじゃん」と逆に呆れてしまいましたが、年齢を経て、もう少し客観的な視点から物語を俯瞰的に捉える事ができるようになった時にようやく、この作品の魅力に気付くことができたように思えます。
なんというか、あくまで当時の感覚なのですが、笑っちゃう感じだったんですよね。「大人が考える女子高生像」みたいな感じが、あまりにステロタイプかつ陳腐に思えて。
若者の無軌道な行動はいつの時代も大人たちには理解されず、故に(大抵は好ましくない方向で)社会に話題を提供するものですが、そういう若者たちの行動を面白おかしく捉えた大人たちが作ったゲームなのかなと。このあたりで作品の趣旨を完全に取り違えているのですが、だからこそ当時の自分は「こんな馬鹿なことするわけないじゃん」「私たちはそこまで馬鹿じゃないよ」という結論に至り、滑稽に感じてしまったのだと思います。
無論、これら当時の感想は、ムーン世界の性質から完全にズレているので、このあたり、トワイライトの影響を引きずって、ムーンもまた同様に主観でプレイしていたことが、今となってはよく分かります。
実際のところ、客観的に物語を眺めるスタンスこそムーン本来の楽しみ方なのですが、それに気付くのはやはり二十歳を越えてからでした。


一般性がゼロに近い、特殊すぎる作品ですので、評価が分かれるのは当然のことですが、プレイ当時は「ありえね~!」と笑い飛ばしていた陰惨な事件、そして凶悪な衝動が、近年になって現実のものになったのですから、ちょっと世に出るのが早すぎたのではないでしょうか。
余談ですが、自分が尊敬する作家さんは、このゲームに強く影響を受けたとのことで、ヒット作「SIREN」の例にしろ、ムーンがいかに強烈なインパクトを与えたのかということが目に見える形で証明されたのではないかと思います。おそらく、クリエイター気質が強ければ強いほど、その傾向が増すようにも思えます。

強く印象に残っているのは、取説に載っていた解説。
「昭和の温もりを感じさせる作品がトワイライトだとしたら、無機質な平成を描いているのがムーンライト」
自分としては、この解説文が両世界の違いを、簡潔かつ綺麗に表現していると思っています。



思い入れのあるゲームなので、ネタバレの各章感想に続きます。
とんでもなく長くなってしまったので、折りたたんでいます。
続きを読むから↓↓↓



――何かを見つけようと思ったって、見つかりっこない
そりゃそうだ、はなから何もないんじゃ……――



異色作ムーンライトシンドロームのネタバレ感想をグダグダ綴ってみました。



◆プロローグ
この後すごいスピードでガイキチワールドに突入していくなど露ほども想像させない、ごく普通の導入部分。
前作でもおなじみのアラマタが登場ですね。アラマタの人物像としては、もうちょっと貧相なインドアおじさんを想像していたので(記事書きながらカップラーメンすすってる感じの)思いの他、素敵なジェントルマンだったことに驚きました。

アラマタに限らず、前作では演出の一貫として顔を明示していなかった登場人物たちが、今作でははっきりとしたCGで登場するので、それがまた、無意識にトワイライトとの相違を感じさせているような気もします。
環境部分としては、ミカのピラミッド御殿が好きでした。現在に比べてCG技術が拙い時代なので、トワと違って全体像を描写してしまっているムーンの環境部分は、正直臨場感を削いでいるように感じられましたが、結果的に、その無機質さが作品の特色を際立たせていると言い換えることもできると思います。
エレベーターシーンを含め、ミカのピラミッド御殿は、奇麗で立派なマンションに宿る冷たい静寂を響かせ、導入部分にして、ムーンライトの象徴的な環境部分だと受け止めています。

温かなミカの両親に包まれ、団欒に和んでいたのも束の間、キョウコの事故報道が流れ、怒涛の急展開。再プレイした際、このニュース画面に、さりげなく白髪の少年ことミトラ&スミオが映っていることに気付いて、軽く戦慄を覚えました。



◆夢題
ここで、ミカからもう一人の主人公であるリョウにバトンタッチ。
プロローグは割りと普通のゲームでしたがここで頭のおかしい人たちがいっせいに登場、プレイヤーを一気に狂気の坩堝へと叩き落して下さいます。

とりあえず、ムーンのインパクト大賞に燦然と輝く冬葉スミオがここで正式登場でしょうか。
スミオは全ての発端を作った人物でもあり、その大物っぷりに恥じない強烈な個性を随所で発揮してくれますが、奴がリョウに向かって言った「僕はきみに執着する」は、もはや伝説級。
数々の女と関係を結び、ミカにも手を出し、ミトラと契約してキョウコの命を奪い、死んでからもおまえをストーカーするよとリョウにキモ宣言し、孕ませたキミカの焼身自殺に半ば納得済で巻き込まれて死亡し……のっけからすごい勢いで壊れている人物ですが、ユニークすぎる数々の言動のため、どこか憎めない男、それが冬葉スミオであります。
そもそも、スミオの心の闇というのは、愛するキョウコに振り向いてもらえないことに端を発していて、付随し、華山姉弟が禁忌の想いで繋がっていることだったり、オールマイティなはずの自分が一人の女すら手に入れられない現状にプライドを痛めていたり(そのために多数の女性と関係を重ねてプライドを慰めていたり)、割と分かりやすいんですよね。
キャラが濃すぎるため、論点があらぬ方向にいってしまいがちなのですが、その行動理由は、理解できないこともない気がします。

それとは裏腹に、最後まで一貫して、得体が知れないのがヤヨイ。彼女の場合、存在自体がラストまで謎に包まれています。
失禁したリョウを言葉攻めでいたぶるヤヨイのドSっぷりにはどうしようかと思いましたが、失禁するヒーローもどうなのよ。
このあたりから、全年齢対象のゲームとしては、完全に道を踏み外し出します。



◆奏遇
再びミカパートへ。
ユカリやチサトといったお馴染みのキャラが登場し、前作の感触が戻ってきました。――のも一瞬のことで、すぐに狂気ワールドへと引き戻されました(>_<)
話違いますが、ムーンをプレイした直後、PHSを買いに行った当時の自分。このシリーズにはそれほど強い影響を受けていました。

話は前後し、ムーンオリジナルキャラクターの一人でもあるアリサについて。
その不思議ちゃんと称しても支障のない、暴虐なまでに無邪気な性格とその名字から推察するに、時代柄、華原朋美をモデルとしていることは間違いないと思われます。アリサというニュータイプの登場により、トワイライトでは暴走キャラだったミカが一転、ストッパーの役割を担当することとなり、そのため、ミカは随分と落ち着いた性格へと変貌を遂げました。
ユカリら上級生と行動を共にする場合のミカは、これまでとさほど変わらない言動を取っていることから、先輩の役目とでも言うのでしょうか、アリサと接する時は、無意識にお姉さん的役割を務めているようです。
しかし、トワイライトのやりたい放題のミカから思うと、物凄い成長っぷりです。不謹慎極まりなかった彼女が、良識さえ覗かせるようになったのですから、まさに驚きの一言。同時に、「あのヤンチャだったミカも大人になっちゃったんだね…」という、一抹の寂しさも覚えます。ただ、ミカは元々、要所要所で意外な優しさを発揮するキャラでもあったので、「浮誘」でリルを救おうと懸命に説得する姿は、トワイライトの頃とあまり変わらないのかな。



◆変嫉
トワイライトの「Prank」が丸々入っている章。
「Prank」の場合、リョウが白髪だったのですが、その点は変更されていますね。あと「Prank」では、土手でミカに会ったリョウが「ナンパか?俺にもツキが回ってきたのか?」とか言ってるのが、今となってはウケます。
ムーンでのリョウは、雰囲気が暗く、平たく言うとモテ要素が皆無なため、ミカからはほとんど変質者扱いなのが涙を誘います。

買い物へ向かうパートでは、これまた頭のおかしいご一行様に道を阻まれますが、物理的な意味での危険は大きいものの、ゲーオタが一番話が通じる気がする。あとの二人はどう見てもキチガイです。本当にありが(ry
しかもそんな変態を反則金的蹴りで交わせというのだから、このゲーム狂ってるよ!まあ今にはじまったことじゃないけど!

ここで登場するルミですが、スミオの妹としてはかなりマトモな人だと思います。
言わばツンデレキャラの代表格なのですが、普通の感覚を持っていて、兄と付き合っていたミカに嫌味を言ったりします。(本人認識では)彼氏だった男の衝撃的な死に、多少はショックを受けたようですが、基本的にミカはミカで鬼の立ち直りの速さを発揮しているので(普通は、彼氏と級友が焼死したクラブに嬉々として遊びに行ったりしません!)ルミの気持ちも分からないでもないな…。

ところで、体系も服装も化粧もモデル系のルミが存在する一方で、「今時の女子高校生」設定のミカは、相変わらず殊更派手には見えない普通の高校生。髪型もスカート丈も服装も、ごく標準です。むしろ、当時の感覚から言っても少々地味。このあたり、リサーチを怠るはずはないと思っているので、むしろ故意にアンバランスに仕立て上げているとしか思えませんでした。

ヤヨイの罠にはまって変質者に襲われてしまい、危機一髪となったミカでしたが(つくづく全年齢対象のゲームで、どんだけ無茶な設定仕込むんだ…)ユカリたちが救出に駆けつけ、事なきを得ることに。仲間たちの絆に触れ、人の優しさや温もりを再確認するミカ。がしかし!それもこれもすべて、ミトラプロデュースによる、後々訪れる絶望をよりいっそう効果的にするための演出なのでありました。救いようがなさすぎる!
あと、警察にパクられたあと、自ら舌を噛み切るレイパーがあまりにも恐怖です。



◆片倫
今回は幽霊ではなく、ミトラによって校舎のつながりをメチャクチャにされてしまいますが、結構迷子になりました。
ミトラと会ったのちは、ミカが殺人に手を染めている自分の幻想を見せられますが、当時の自分は、ここでこのゲームには合わないとハッキリ感じてしまいました。レビューにも書きましたが、「その程度のことで、ここまでやるわけないじゃんw」と。このあたりは、今現在の方がムーン本来の視点で見ることができる気がします。



◆浮誘
団地で発生している謎の飛び降り事件の真相を追うストーリー。
作中、このストーリーのみ、とてもわかりやすい整合性が見られる上、探索の後に究明に辿りつく形態を取っているので、トワイライトファンに一番人気があるのも頷けます。かくいう自分も、当初はこの章が一番好きでした。(今は「夢題」が一番お気に入りです^^)
ミカのピラミッド御殿とは対照的に、団地という場所からは人情味溢れるイメージを受けますが、その団地さえ、得体の知れない集合体へと持っていく作品力はさすが。
ムーンの場合、いわゆる心霊モノのように場所そのものをアナザーワールドに変化させるのではなく、プレーンな空間に明らかな異質さが渦巻いているところが秀逸です。

ミカが団地の中学生三人に取り囲まれるシーンで、ミカ視点で画面がスライドするところは、手法としてかなり好きでした。彼らの集団心理の仕組みとしては、トワイライトの「夕闇の少年」のサエキたち極悪集団に通じるものがあると思うのですが、奴らに比べると、幼さ、そして純粋さが残っていて、対比すると感慨深くもあります。
また、このシナリオは、いくらか救いを感じさせてくれる作りになっているのが特徴。
首謀者としての役目を担っていたリルは、決着をつけるために自ら責任を取って飛び降りてしまうものの、ミカの説得には一応応じていますし、彼女の命は救われていますので(彼女の父親にとっては、恐ろしく不幸な出来事ではありますが)その点もまた、このシナリオが前作ファンに好まれる理由であるように思えます。



◆電破
真っ赤なスーツで踊り狂うユカリが印象的な一話。ユカリは前作でカドが取れたのか、このムーンではそのおおらかな部分が強調されています。というか、完全にボケ担。

耳障りなノイズ音が鳴り止まない、この「電破」。
しかしまあ、ミトラを筆頭に、よくぞここまで不快にさせてくれるもんだと感心してしまいます。
ザーザーザーザー、まさに不快音の見本!
校舎内を歩けば、ノイズに混じって突如響いてくる、男の意味不明な声が。
「でもヤルんだよ」
もうホントムカつくwww



◆開扉
シリーズ恒例でもある電車シナリオであると同時に、ついにミカが闇に取り込まれる、物語のターニングポイント。
最寄り駅が地下鉄になっているところが、前作トワイライトとの相違を物語っていますが、ロケーションの無機質さが増した分、ムーンライトの特性も増しているように思います。

車内では、ミトラによって「サトリ能力」を強制付加されたミカが、乗客の心を覗き見ることになりますが、「おじいさんおじいさんおじいさんおじいさん…」とひたすら亡きご主人のことを想っている健気なおばあさんの何が悪いというんだw
可愛げのない小学生軍団がさりげなく呟く「ヒロスエはもう古い」とか、不覚にも吹き出してしまいました。大丈夫なのかこんな台詞吐いて。
ついでに、回想シーンに出てくるミカの騎乗位とかいいのか。

あと駅のホームで落ちているサッカーボールに触れると、「ドライブシュートォ!」という場違いな声がどこからか降って沸いて来るのですが、何だろうと思って調べてみたら、ミトラの声の人が、キャプテン翼の主人公・大空翼と同じであるとのこと。あの「ボールは友達!」の爽やかな翼くんと、ミトラが同じ声とは…声優さんってすごいですね。って、キャプ翼って、まがりなりにも日本を代表する名作サッカー漫画じゃないですか!声優さんも何してんだよ!断われよ!(笑)



◆慟悪
探索という意味ではこれがラストシナリオとなり、その密度の濃い内容も手伝って、強く印象に残っている話です。
校長については、ゲーム前半の時点ですでに伏線が張られていましたが、こいつも例に漏れず、ほんまモンの変態でした。
そして、そのスケールの大きすぎる変態っぷりで、作品のリアリティを一気に崩壊させた張本人でもあります。

ここまでは、あくまで現実をじわじわと侵食していく狂気を描いていましたが、それに比べ、この校長の一件はちょっと派手すぎたかなという印象があります。
校内に仕掛けられた監視カメラの存在はアリだとしても、完全に趣味の部屋と化した校長室や、隠しエレベーターや、地下のキチガイ部屋などなど、ハード面でも胡散臭さのオンパレード。締めはもちろん、ド迫力!タワー崩壊!
建設段階でアウトだろとか、校内には警察の手が入っているのに、このあからさまな秘密がバレないのはおかしいだろとか、もうツッコミ待ちしてるとしか思えないよ校長!
まあ、相変わらずの死亡率を誇る雛代高校は閉校間違いなしのはずとか、いいから早く誰かミカの両親に連絡取れよとか、それを言っちゃおしまい的な部分でもあるのですが。
現実と狂気の境界線が曖昧であるところがムーンの本質でもあると思うのですが、この章は景気良く弾けすぎです(笑)。好きなシナリオではありますが。


ところで、校長もまた、ミトラと契約していた一人と思われますが、契約の代償が自らの命だとは知らされていなかったのでしょうか? この場合、ミトラが校長に与えた役割は、ミカとリョウのために用意した単なるエキストラに過ぎなかったようにも感じますが……。



◆エピローグ
全力ですべてをぶち壊していくエピローグ。
どれほど多くのトワイライトファンを唖然とさせたことか。

やはり一番ショックだったのは、ユカリが惨殺されるところです。今回、人間やめていたチサトは、ミトラをはじめとした様々な怪現象を理解した上で挑み、敗れ去りましたが、普通の人代表のユカリは、何一つ分からないまま一方的に殺されているため、余計にプレイヤーのやるせなさを加速させます。直前のミトラとのやりとり――一般の子供を装ってユカリの同情を誘い、ユカリもまた、疑うことなくそれを信じていただけに、彼女の無残な最期にはやりきれない思いでした。

しかもあのミトラのバカ笑いがまた、輪をかけてムカつくんだよなあ。
鈍い破裂音と、重いものが崩れ落ちる音。入り口のドアにべっとりと付着した、モノクロの血飛沫。もしくは臓物。
「うわあ、気持ち悪い、ハハッ、ひどいや、こりゃ。ヒャッハハハ! またやっちゃったよォ、アハハハ」
これで鬱にならなかったら嘘です。
純粋にミカを救おうとしていただけに、アリサの死も衝撃的でした。

ところで、ミトラにアリサのブローチを見せられ、ユカリ精神崩壊を起こすシーンですが。この場面でミトラがユカリに見せるものとは、当初、アリサの目玉であったそうですが、取説に書かれているように、「自主規制」により変更された模様。そのため、ブローチだと、なんとなく意味が通らないですよね。


主役チームがめでたく全滅したところで(泣)、ようやくこの物語の実質的な主人公であるリョウが登場。
スミオのキャラが濃すぎるため、これまでどうしてもその影が薄らいでしまっていたリョウですが、デレ期突入のルミに見送られ、ミトラとの最後の決戦に向かうことに。

ルミはまともな子だと思うので、リョウがルミとくっついていたらすべてが丸く収まったのに…と思わずにはいられません。まあ、華山姉弟が互いへの気持ちを捨てきれなかったことが、この物語の始まりに繋がっているわけなのですが…。
そもそも、元を質せば、この男の煮え切らなさが周囲の人間を不幸に追いやったのでは?とついつい思ってしまうのですが、きっと最後くらいは格好良く決めてくれるはずです。何たって、ヒーローですから!

「死ぬべき人間などいない……、……でも人はパルスに呼ばれ、逃げることさえ恐れず……」

もうコイツ駄目だ。
なんかやたらとかっこいいのが、余計に腹立ちます。


ここからはラストに向けて一直線。
待ち受けるのは、お馴染みのクソガキ、ミトラ。
様々なジャンルのゲームをプレイしましたが、彼ほど心の底からムカつかせてくれるキャラには、これまで出会ったためしがありません。
出会い頭からミトラ節、大・炸・裂。

「いよいよ最後だよ。ちゃんと記録した?アイテム全部取った?もう準備は万全?アハハハハハ!バーーーーカ!そんなの無意味だよ」

誰かこのガキを一刻も早く黙らせてくれ。


そして極めつけは、やはりこの人。
リョウの原風景に佇む冬葉スミオが、爽やかに物語の幕を下ろします。

「良かったと思ってるよ。君に執着してきて。わからないか、まだ。それも意味を変えた愛の形だよ。それも人間愛といった壮大な嘘ではない。普遍の愛だよ。じゃなきゃ死ねるかい? 人のためにさ」

やかましいわwww



そしてエンディング。
月の光が支配する長い夜は終わり、朝焼けが世界を染め上げる中で、リョウはようやくミカと再会。
たくさんの犠牲を払ったものの、無事にミカを取り戻すことができた――……はずなのですが、どうやらEDロールにてリョウがミカに触れてしまったことにより、ミトラとの契約が履行されてしまい、ラストでリョウが持っている紙袋の中身はミカの生首であるとのこと。もうホント、救いようなさすぎ。

後のシルバー事件に続く結果では、このままリョウとルミも死亡するとのことで(シルバーは今のところ未プレイです)結局、誰も闇から逃れられなかったのだなあと。
狂気一色で塗り潰されているようなこの作品ですが、やはりスミオにしろミカにしろ、闇を発症させるに至る、割と分かりやすい理由が用意されているのではないかと思います。
逆に、病んでない健やかな人たち=ユカリ・アリサ・チサトは、この物語では端役しか与えられなかったということなのでしょう。
リョウと同じように、近親相姦の感情を所有していたルミですが、彼女のみ、ムーン本編では、その胸に巣食う闇を乗り越えることができたようにも感じます。


自分の場合、ネットでこの話の真相を知るまでは、全てリョウの夢オチだと思っていました。
キョウコの事故死までが現実の話で、あとはミトラも何も全て、現実逃避をして廃人化したリョウの幻想にすぎず、そのためラストの紙袋は、リョウが現場から盗み去ってしまったキョウコの生首だったのかと。
リョウはしばらく雛代高校に在籍していたそうですから、ミカたちのことも知っていても不思議ではないし。
クラブの地下にて、ヤヨイの前で失禁しちゃうのも、全部リョウの願望と考えた方が、話早いですし。



長々書いてしまいましたが、ここまで読んで下さいました方がもしいらしたら、ありがとうございます。
結局、ヤヨイの存在だけは最後まで謎のままで、個人的には、ルナティックという言葉に最も相応しい彼女がすべての黒幕だと思っています。


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コメント
この記事へのコメント
大爆笑しました(笑)

ワタシ【シルバー事件】がいわゆる人生観変えたゲームだったので、その流でムーンライトシンドロームをやったタイプなのですが。

やかましいわwwww
…って、ワタシも何度思ったことか。ミトラに。

なんか、このゲームをやって思ったこと、全部かかれてる文章って、本当におもしろかった(笑)

あまりのキャラの惨殺っぷりにビビって、前作であるトワイライトは未プレイなのですが、これをキッカケに、プレイしてみようかな(^^)
2010/09/25(土) 17:45:34 | URL | あいち #vQJvLHmI[ 編集]
あいちさん、はじめまして。
せっかくコメント下さったのに、お返事が大変遅くなりまして申し訳ありませんでした。

このたびは、まとまりのない感想を最後まで読んで下さいましてありがとうございます。
シルバー事件から入られたのですね。シルバーはいつかやってみたいと思っているのですが、開始早々いきなりリョウとルミ死亡…という噂を聞き、もうその時点で決意が揺らぎます。とはいえ、シルバー自体の評判はすこぶる良いので、いつかプレイしてみますね!

ミトラはほんとに頭にきました!なんかもういちいち煮え切らないリョウとか、変人のスミオとか、不気味なヤヨイとか、ムーンは他にもイラッとくるキャラ満載でしたが、ミトラはもう別格というか。
そんなミトラとの対決に赴くリョウが、何の脈絡もなく日本刀を携えてるっていうのがまたなんとも言えずカオスで結構好きです(笑)

前作トワイライトは、このムーンとは全く作品の性質が違い、どちらかというとベタな成長モノ、しかもハッピーエンドなので、それだけにムーンライトでのあの扱いには心底ビビりました。えっ、何かの間違いだよね!?とラストでの大逆転を信じていたのですが……よもや最後の最後でミカまでもああなってしまうとは…。恐るべきゲームです。
前作をプレイすると、ミトラに対する怒りがさらに増幅しますので(笑)もし機会がありましたらぜひ♪

このたびは、ご丁寧なコメントを下さいまして、本当にありがとうございました。お言葉を頂けて、とても嬉しかったです!
2010/12/02(木) 18:51:42 | URL | 草壁淳子 #mQop/nM.[ 編集]
!!共感!!
たったいまムーンライトシンドロームをクリアしました(^ω^)
ラストを終え…「ええぇっ!!」

夜中に立ち上がってしまいましたわ…いやあビックリビックリでした

やり切れない思いでネット上ウロウロしてたらこのブログを見つけて、1人ニヤリ(笑)

素晴らしい解説ブログですね♡
楽しく読ませていただきました♡


あのガキを一刻も早く黙らせてくれに吹きました(笑)(^ω^)わかりますー!


2013/01/20(日) 03:22:14 | URL | けろ #5lgk84Pk[ 編集]
クリアおつかれさまでした
コメントありがとうございます。返信が途方もなく遅なりまして本当に申し訳ありませんでした。
ムーンライトクリアされたんですね!
けろさんがあえて今、16年前(!)に発売されたムーンライトにチャレンジされたきっかけが気になりますが、プレイおつかれさまでした。
本当、あの唐突なラストにはビックリでしたよね!
私も「え?え?これからどうなるの?」と思っていたところに「まっさかさまになって~♪」のEDが流れた時は目が点でした。そのあとに待ち受けていた短いエピローグにはもっと唖然としましたが(笑)

本当ですよね!何度ミトラの横っ面を張り倒してやりたいと思ったことか!
「オイこいつ何言ってんだ!このガキを黙らせてくれるのはチサトしかいない!チサトさんいっちょ頼むで!」と思っていたので、チサトがやられて幽体離脱した時には私の魂も口から出そうでした。
このような辺境のブログを探し当てて下さったばかりか、コメントまで残して下さいまして、本当にありがとございました!
2013/06/20(木) 00:49:20 | URL | 草壁淳子 #-[ 編集]
承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
2013/09/24(火) 00:19:26 | | #[ 編集]
承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
2013/10/04(金) 07:34:50 | | #[ 編集]
承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
2014/06/14(土) 17:39:58 | | #[ 編集]
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